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キャリー(2013)

監督:キンバリー・ピアース

 
スティーブン・キング原作の青春ホラー。
'76のブライアン・デ・パルマ監督版はキャリー役のシシー・スペイセクがいかにも神経症的ないじめられっ子で、可哀想だわおっかないわ、はまり役だった。
シシーさん、当時27才。確かに女子高生にしちゃ老けてるんだけど、それがまた歪んだ母親に育てられ異常な状況下にある女の子らしく、説得力があった。
 
今回のキャリーはみんな大好きクロエ・モレッツちゃん。
クロエちゃん、子役出身なのに子供に見せられないような映画によく出る子で、キック・アスといいモールスといい、「血まみれ」「大暴れ」「皆殺し」が似合う女の子。
キュンと尖った鼻ともの言いたげな口元が可愛い。
元が美人だし、がっしりしたいい体格をしているのもあって、いじめられっ子の弱々しさはない。(超能力使わなくても、普通に腕力でいじめっ子に勝てそう)
その代わり、母親の呪縛から逃れて自立しようとしている思春期のひたむきさがとてもいい。クライマックスの大殺戮シーン、あのやり過ぎ感も、クロエちゃんなら納得のクオリティ。
 
そしてキャリーと言えば、怖い怖いお母さん。
ジュリアン・ムーア、大御所なのに脱ぎっぷりもよくセクシーで大好きな女優さんだ。
今回はお色気封印で、狂信的な中年女を怪演。(自傷行為は「ピアニスト」のイザベル・ユペールっぽかった。過度の抑圧は変態性を生み出すね)
 
あと、中身までイケメンの彼。
ドリフのコントみたいな例のアレで、死んだ設定なのか気絶してるだけなのか、なんにせよ、気のいい二枚目の悲哀がにじみ出て、いい。(体育教師とスー、キャリーに同情的だった二人は助かったのに、一番キャリーに優しかった彼があんな最後という不条理、、泣ける)
 
映画館は、デ・パルマ版のファンなのか、年配のかたも比較的多かった。
趣は違うものの、リメイク版も私は好きだ。
ピアース監督は、「ボーイズ・ドント・クライ」を手がけた人。虐げられる女性の悲しみと怒りを容赦なく描く。
スティーブン・キング自身も、女性や子供に対する虐待について繰り返し描く作家で
原作に近い匂いも感じた。
いじめはアカンよ。あと、我慢しすぎもアカン。