グロリア(1980)
監督:ジョン・カサヴェテス
出演:ジーナ・ローランズ 他
音楽:ビル・コンティ
大好きで何度も見る映画。
やさぐれ中年女の、なけなしの正義感と義侠心が泣かせる。
どこまでも追いかけてくるギャングたち、必死に逃げ回り怯えつつも、いざという時は一歩も引かず戦うグロリアの美しさに痺れる。
「レオン」の元ネタだが、こっちのほうが大人っぽくて私は100倍好きだな。
冷静に見たらこの話変なとこがいっぱいあって
- マフィアが寄ってたかっておばちゃんとちびっこを殺れないっておかしいだろう
- いかに80年ニューヨークとはいえ、街中で銃ぶっ放したら警察くるよね普通
- 逃亡生活なのにいつもばっちり巻き髪のジーナ・ローランズ
- 元ヤクザの情婦らしいが、今なにやって生活してんのグロリアさん
- そもそも冒頭のプエルトリカン一家、もうバレてんだから速やかに通報しなさいよ
でもねそんな疑問をぶっとばす、ジーナ・ローランズの荒んだエレガンス。ウンガロのドレスをさらりと着こなしハイヒールで街を闊歩する女っぷりといったらもう。
あと、子役があんまり可愛くないのもツボだ。なんというか、小児というより大人をキュッと縮小したような体格で、発言も小憎らしい。
しかし親兄弟を殺された哀れさと、必死に生きていこうとする健気さで、最後のほうはこの憎たらしい子がとても愛おしくなる。
また、ニューヨークのザラザラした風景がそのままこの映画の魅力だ。
タクシードライバーのおっちゃんたちや、デリの店主、マフィアのボスの家にいる得体のしれない男たちなど、いい味した顔のおじさんがいっぱい出てくるのもいい。