シネマと宝塚と音楽と

宝塚・音楽・映画・時々ジャニーズ

雪組「ルパン三世」の開演前の客席で

先日、2回目の観劇をしてきたわけですが。
 
開演前に後ろのカップルの会話を何となく聞いてると、男性(関西人)がどうやらヅカヲタ。彼は子供の頃、親に連れられて観劇し、はまったらしい。
連れの女性は宝塚初観劇らしく、男性が女性にいろいろと解説をしておられたのだが、それがもうそのまま文字におこして新書にできそうなほどわかりやすく、的を得ており
禿同すぎて密かに首がもげるほどうなづく私。
好きなものに対する納得感のある評価を聞くのってほんと楽しい。
もう握手でもしてもらいたかったわ、あのお兄さん。
彼の素晴らしい解説のごく一部だけ、思い起こしてみる。
 
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タカラヅカは敷居が高い世界と思われがちだが、実は料金もさほど高くなく、作風にしても、最近では銀英伝戦国BASARA逆転裁判なども舞台化するなど、意外なほどポップで初心者にも見やすい。ルパンも然り。
 
・しかし、間口は広いが奥は深い。
生徒たちは皆、厳しい競争と訓練を経たエリートで、舞台人としてスキルもルックスもレベルが高い。
「友達が勝手にオーディションに応募しててぇ〜」などという入団きっかけはありえない。

・ミュージカルも、ショーも、基本は座付き作家陣がオリジナル作品を作る。
制作演出生オケ衣装部大道具に至るまで専属スタッフの層が厚く、徹底した夢の世界を構築している。
 
・生徒たちもファンの夢を守ることにコミットしており、日頃の立ち振る舞いから気をつけている(一例:男役はプライベートでもスカートを履かない)。
ファンもまた、彼女たちがフェアリーであり続けられるよう、夢の世界のお約束を守る。

、、ここまで聞いた連れの女性、
「へえ、じゃディズニーみたいなんだね」と、これまた理解力の高いこと。
センスある男性は、やっぱ賢い女性と一緒にいるねぇ。
そうなんですよお嬢さん。この徹底したファンタジーはディズニーと匹敵する。そして、徹底した作りものでしか表現できない真実が、あるんですよね。
 
・ルパンは一般的にアニメシリーズの印象が強すぎる。特に山田康雄さんの、あの声と言い回し。
舞台で役者が演じるにあたり、モノマネになっちゃうのはおかしいし、かといって、まるきりあのイメージを無視しても、それはそれでルパンとして成立しない。
早霧ルパンはその絶妙な兼ね合いのポイントを掴み、どの男優も無理だろうと思われるほどの、まさかの名演である。
 
・宝塚はトップスターに合わせてオリジナル作品を作り上げていくため、歌舞伎のように定番を何度も再演するわけではない。ベルばらやエリザベートはむしろ例外。
そして、どんなに大当たりしても、ロングランをやらない。
ルパンはとても面白い作品だが、キャラクターに合った演者が再び揃う条件を考えると、再演は無い可能性が高い。
そんな貴重な舞台がこれからはじまるよ。
あのテーマ曲が生オケで流れるだけで、めっちゃアガるで。
 
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実際はもっと詳細に、宝塚のシステムを簡潔かつ魅力的に語ってくれていた。
赤の他人ながら、私も連れの女性が楽しんでくれるか、気になってしょうがなかったがお芝居が終わった幕間、女性の「すごい!おもしろかった!」という声をきいて我がことのように嬉しくなってしまった。
ちぎ様と雪組のみなさん、だいぶ新規ファン開拓してんだろねこの公演で。