シャングリラ(2010 宙組)
まあなんといっても、→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)の楽曲提供が素晴らしい。
冒頭から、名曲「台風」にのせた渾身の群舞。宝塚らしからぬ曲なんだけど、これが実にかっこいい。
偉大なるマンネリズムを守りつつ、並行してこういうことをやってくれるから宝塚は偉い。原曲はこんな感じ。
大空祐飛さんは美貌だけどやや癖のある顔立ち、声にも独特の震えるような響きがあり
何かひっかかる、それが心に残るスターさん。
どこかプラスティックな乾いた印象があって、それがこの作品に凄く似合っている。
紅葉柄の革ジャン・・・他に誰が似合いますか
この作品は大空さんの演じる空をはじめ、当て書きそのものの役名を見てるのが楽しい。
レジスタンスの蘭寿様、正義漢がぴったり。ひとりだけぱりっとしたスーツ姿。ああもうかっこいい。
いきなり敵にとっつかまって拷問されてるという気の毒な役だが、この時の蘭寿様、今より少し肉づきがよいのか、逞しい長身に光る素材のスーツがよく似合って素敵。
すみ花ちゃんと蘭寿様。絵になる
そして北翔さん。大きな目をうつろに開いて、盲目の「海」を演じる。
目の上の刀傷も痛々しく、緑のウイッグも似合って、このみっさまは本当にもの凄く可愛い。普段は貫禄のある役が多いみっさま、この海は一瞬誰だか気づかないくらい。引き出しの多い人だ。
あと敵役の、悠未ひろさん演じるアイス。中国服風の鉛色に光る衣装が長身に映えて、めちゃくちゃかっこいい。ラメが鱗のようで、まるでウミヘビみたい。
シャングリラ側の暗く冷たい青や黒や銀色の色調と、旅芸人側の賑やかで猥雑な赤の綺麗な対比。
役者さんがみんな生き生きしてて、いい作品だ。再演も見てみたいけど、ほぼ当て書きだから難しいのかな。
みっさまが可愛くて可愛くてもう。