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宝塚・音楽・映画・時々ジャニーズ

マルホランド・ドライブ(2001)

監督:デイヴィット・リンチ 

出演:ナオミ・ワッツ、エレナ・ローラ・ハリング

 
とにかく死ぬほど見た。いや現在進行形で今も時々見る。これから先も繰り返し何度も見るだろう。
何度見ても切なくて悲しくて震える。そして、なぜか心が浄化されたようになる。
(以下ネタバレ含みます)
 
マルホランド・ドライブは、一般的な解釈でいうと「前半夢、後半現実」
前半、若く希望にあふれたベティ(ナオミ・ワッツ)が女優を目指しハリウッドにやってくる。
業界人の叔母の後ろ盾もあり、出会う人たちはみんな親切。初めてのオーディションで演技力を絶賛され、キャリアの滑り出しは上々。
その上、家に迷い込んできた謎の美女リタ(ローラ・ハリング)と心が通い合い、恋仲に。
 
何かおかしい。何かがおかしい。時々よぎる不安。所々挿入される一見脈絡のないシーン。
これは都合のよい夢だ。
誰の?ダイアン(ナオミ)の夢。彼女が死ぬ前、もしかしたら死後に見た美しく悲しい夢。
 
後半30分で怒濤のネタばれ、ダイアンの真実が容赦なく叩き付けられる。
あのキラキラと希望に溢れた快活なベティは、いない。
いるのは女優の卵とはいってもろくに仕事もなく、おそらくコールガールのバイトで食いつないでいるらしいダイアン。やさぐれて荒れた肌、寝起きのままろくに服も着替えていない。
優しいリタの愛情もまた幻。
元恋人のカーミラローラ・ハリング)はすっかり心変わりをしている。
夢に破れ、愛も失ったダイアン。
こんなはずじゃなかった。故郷の両親に合わせる顔もない。
元恋人への恨み、女優としての嫉妬。許せない。愛している。でも許せない。生かしてはおけない。カーミラ、愛している。永遠に。許せない。愛している。そばにいて。
 
ラスト、マルホランド・ドライブから望むハリウッドの夜景に、幸せだった頃の二人の笑顔がオーバーラップする。
胸が締め付けられる。私は泣き女となり、クラブ・シレンシオでダイアンのために泣く。
こんな悲しい話になぜこんなにも引きつけられるのか。
ああまた見たくなってきた。。また続きは次回に。