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オデッセイ(2016)勉強とお笑いと音楽は大事よね

 
一見ごく普通の男性のようで、なぜか主役にふさわしい存在感を持っている。地味なようで華がある。、、、そう、私の中でマット・デイモンは「アメリカの織田裕二」。
たった一人火星に取り残された宇宙飛行士が、科学と勇気とユーモアのセンスでサバイブする話なので荒涼たる砂漠の中、ほとんどマット・デイモンの一人芝居に近い。しかしマットが写ってるだけで、謎のリアリティがある。
 
この話、想像するだけで震え上がるような恐怖譚なのに、とても明るい。
ワトニー飛行士は必要以上に嘆くことも取り乱すこともない。一つ一つ、目の前の課題をクリアしていく。しかも冗談まじりに。
私などは、あんな絶望的な場面で人間ああも落ち着いていられないのでは、とつい思ってしまうけど、どんな時もパニックに陥らず、できることを淡々とこなせる強靭な精神力の持ち主でないと、そもそも宇宙飛行士にはなれないので、映画の描写は実は正しいんだそう。
 
船長(ジェシカ・チャスティン)が残していったiPodが70年代の懐メロばっかりで
ワトニーさん、俺の趣味に合わないとブツブツ言いつつ、ディスコサウンドに合わせて黙々と作業するのがおかしい。
危険なプルトニウムを運搬する時のBGMがドナ・サマーの「Hot Stuff」だったりして爆笑。
 
科学の知識とジョークがワトニーを救う。そして淡々と目の前の課題をこなしていく。
(全然映画の種類が違うけど「ショーシャンクの空に」でも、主人公を救うのは教養と心の軽やかさ、そして専門性=財務の知識だったな)
 
これは子供や10代の若い人たちにもぜひ見てほしいかも。
勉強は役に立つ。水を作り、ジャガイモを育てるシーンなんて、まんま理科の実験だ。諦めない根性は大事だが、根性だけではどうにもならない。大仰に騒ぎ立てたり、深刻ぶる必要はない。それぞれの持ち場でできることをやる。己の状況を俯瞰する冷静さも重要だ。
コメディみたいなトーンの作品だけど、凄く感動的ないい映画だった。
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火星で家庭菜園作っちゃうワトニーさん。お見事。