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ローマの休日(2016 雪組)アン王女のスカートは何色か

行ってきました赤坂ACTシアター
面白かった。いい話なんですよね、改めて見ると。
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ローマの休日」って、ロマンチックなラブコメでは決してなくて、若い女性が自分の役割を引き受けて大人になる通過儀礼の話ですよね。
アン王女は籠の鳥である境遇が嫌で嫌でしょうがなくて家臣に駄々をこねた挙句、夜中にこっそり抜け出してしまうのだが、初めて市中を自分の目で見て、戦後ヨーロッパの平和のために公務に身を捧げる運命に目覚める。
最初の謁見シーンではドレスも着せられてる感満載で少女の顔をしている彼女、物語の最後、2度目の謁見シーンでは、国を背負う王族の威厳と覚悟が備わっている。
その変容は感動的だ。
そんなアン王女が一度だけ、公人ではない素の自分として本音を語るから「(印象に残った街は)ローマです」のセリフがぐっとくる。
 
ジョーもまた、退屈なローマ駐在に飽き飽きしている新聞記者で現状に不満タラタラだったのが、アン王女との1日を経て、世界の見方が変わる。彼もまた成長したのだ。
類型的だけど、成長物語というのはやっぱり、胸を打つんですよね。
自分でも意外なくらいに感動して泣いてしまった。
 
チギみゆコンビは役者さんだな、と思う。
私はこのトップコンビに関しては歌舞音曲以上にお芝居を楽しみにしている。
カップル役と言っても肉体関係のない淡い恋愛や、恋愛以前のトキメキを演じてうまいのもこのお二人の特徴ですよね。
超有名な映画の名シーンの数々も自然に再現されていました。
 
ノリに乗っている早霧せいな様。
決してかっこよくない役をかっこよく演じたら宝塚一、いや日本一だ。
(「shall we ダンス?」のエラも良かったけど、ヘイリーさん役も似合いそう)
何気ないベージュのお仕事スーツがかっこいい。ベスパもかっこいい。
ヨレッとしたワイシャツの腕まくりもかっこいい。謁見のかしこまった紺スーツもかっこいい。
 
咲妃みゆちゃん、コメディエンヌっぷりがキュートで王女のトンチンカンさを好演。
物語の後半、アン王女が腹をくくり、顔つきが変わっていく様が感動的だった。
アン王女のあの有名なフレアスカートは、よく水色で表現されてる気がするが(ヘップバーンには爽やかなブルーも確かによく似合うんだけど)個人的には、今回のみゆちゃんのピンクに軍配だ。ローマの街中、ピンクの方が馴染む気がする。
映画版、本当は何色だったんだろう?と調べたら、ピンクベージュっぽい。おお、結構近いね。プレーンな白シャツに基本のフレアスカート。女らしくて素敵。
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ところで映画のヘップバーンは白シャツを少しずつ着崩していくんですよね。
最初はきちっと第一ボタンまで閉めてたのを、首元を緩めてスカーフを結んだり、袖もまくり上げ、襟を立て、上記の有名なスタイルに。
みゆちゃんは最初長袖の白シャツで途中から開襟の半袖シャツに変わってた気がするんだがアーニャさん、いつ着替えたんだ。微妙に気になる。
 
カーテンコールでは「今日は私たちの元気玉を皆さまに先着で」と言いかけて肝心なところで噛んじゃって焦るチギ様が可愛かった。
元気玉を客席に投げるフォームがやたら決まってて、ほんと運動神経いいんだろうなチギ様って。
いいお芝居でした。満足。