シネマと宝塚と音楽と

宝塚・音楽・映画・時々ジャニーズ

星逢一夜/La Esmeralda(2015 雪組)

わが町・宝塚に帰省中。やっぱりいいなぁ宝塚の空気。緑豊かでゆったりしてる。

久しぶりの大劇場、雪組千秋楽おめでとうございます。
私は昨日観ましたが。

何よこれ予想を超えてヘビーな名作じゃないの。雪組のお芝居、いいですね。
享保の改革の功罪を背景に、藩主と村娘の身分違いの悲恋を描く。
…と見せかけて、これは晴興と源太の限りなくBL的な、まさしく男と男の「恋」でしょう。
ラストシーン、二人が星を見上げる姿に涙が止まらない。
「月雲の皇子」「翼ある人々」の上田久美子先生ですからね。俺たちのウエクミ先生。
またも素晴らしい作品をありがとうございます。
客席のあちこちからすすり泣き。ええ、私も泣きましたとも。

だいもん様の源太がいい男すぎる
最近強面役が続いてただいもん様、子役も上手い。「待ってぇー♡」と友達を追いかける源太少年。源太、かわいいよ源太。
 
そして時は流れ、子持ちのお父ちゃんに。
蘭寿様ラブの私はラストタイクーンの見過ぎで、源太がいつDV夫に豹変するかとハラハラしたが、最後まで優しく誠実で真っ直ぐないい男。だいもん様なら、毎晩でもお湯沸かして足を洗うね。んで「ごちそうだな」って言われたい。
源太は晴興に2回土下座し、2回とも突っぱねられる。このシーンには泣かされた。
1度目は、泉のため。2度目は、村のため。
源太、かっこいいよ源太。
 
チギ様の晴興もいい男すぎる
和装が恐ろしく似合うチギ様。九州弁がいなせでかっこいい。子供時代のやんちゃっぷりも、水もしたたる若衆姿も、苦悩する壮年期も、全部チギ様の持ち味が活きている。
子供のチギ様、脛丸出しで走る姿が様になってた。映画でもそうだが「走る」って一番ごまかしのきかないアクションだ。その人の運動能力が如実に見えてしまう(その点、格闘シーンは意外に撮り方次第で何とでもなる)。チギ様は身体のキレがいい。
藩主の息子として他の子供たちとは違う重荷を背負っている設定が、トップの重圧ともリンクしてぐっとくる。
 
源太と晴興、お互いが背負う使命のもと、命を賭けて闘う。 身分を超えて真剣を交える姿は、悲しくも美しい、逢引でもある。
源太は死に、晴興は生き残る。悲劇なんだけど、主役が華々しく死んだりせず、蟄居という地味で辛い処罰を受けるのがリアル。
 
大湖せしるさんの貴姫
実は可哀想な人だよな。生まれも育ちもよく気骨のある立派な女性、晴興の才能を見込んで彼を助け、そして多分惚れてるのに、夫からは全く省みられない(涙)。
このお話、女が皆悲しい目に合ってるんだよね。息子や夫を一揆で失う村の女たちといい。
 
ヒロイン泉。咲妃みゆちゃん
子役から生活に疲れた農婦まで自然な演技で、物語に引き込まれる。いい女優さんだ。この人も、年増役が意外にいい。
愛した人は父の仇の倅であり、夫を殺した張本人。それでも好きなのに、結ばれることはない。過酷な半生を生きた泉の未来を思うと切ない。お泉さん、幸せになってね。
 
夜鷹のシーンが非常に印象的
大好きな場面だ。腐乱臭が漂ってくるような澱んだ空気。爛れた美。女郎たちの怨念が悲しい。
物語の中で異質な場面なのだが、改革の志が見上げる星空の輝きなら、視線を下に向ければそこにあるのは庶民の犠牲だ。この二面性を繋ぐ大事なシーンですね。可憐な雪娘たちの、底力を見た思い。
城を抜け出して女郎たちと語らう鈴虫さん役のがおりさんもいいねぇ。

いやーすばらしかった。東京での観劇も楽しみだ。

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ロビーの花もブルーで涼しげなアレンジ