ポーの一族(2018 花組)が素晴らしすぎた
2回観てきました。いやー素晴らしかった。泣きすぎて、頭痛いです。
「ポーの一族」のエピソード時系列整理
リアルタイムではなく単行本で読んだクチですが、そりゃもう名作中の名作。大好きな作品だ。好きすぎてポーのエピソードの年表を自作して悦に入ってた私。
先日発表された「春の夢」を追加し、時系列にソートし直したものがこちら。
編みかけ部分が、今回の舞台に関連するエピソード。入り組んだ大作を、よくぞ一つの舞台作品に磨き上げられた。小池先生すごい。
バンパネラたちの物語に集約した構成
キング・ポーと老ハンナを登場させてくれたのがとても嬉しい。組長の老ハンナ、優しげでありつつ威厳があってよかったなあ。
原作の「ポーの一族」シリーズはそれぞれの時代に生きる人間たちのドラマであり、バンパネラは彼らの人生の中に一瞬現れては消える、束の間の夢のように描かれる。実はバンパネラが中心のエピソードは限定的なのだ。
それを、今回の宝塚版では、ポーの物語中心にまとめ上げてくれた感じ。見ている私は、完全にドン・マーシャルやマルグリット・ヘッセンと同じ目線になる。エドガーたちに会いたくて、彼らのことを知りたくてたまらなくなる。
ラストの余韻が神がかっている
ラストはかの名作「小鳥の巣」のチラ見せで終わる。
この前の浮遊シーンで幻想的に終わることもできただろう。
でも、「小鳥の巣」の導入を見せることで、あのシーンで終わることで、「エドガーとアランはまだどこかに生きている」感がなんとも言えない余韻として残る。
私たちの心の中に、エドガーとアランは生き続ける。
花組の芝居が良すぎる
みなさん、ビジュアルもだが、芝居が素晴らしく良かった。花組、こんなにお芝居良かったっけ。
他の役者さんたちも凄く良くて、捨て子の「乳母や、おいていかないで!」がかわいそうで泣けてきた。
シーラの狂信的な一途さも素晴らしかった。瀬戸さんの男爵もエロティックでダンディで良かった。
エドガーとアランよ永遠に
みりおさんのエドガーはエドガーすぎて目を疑う。こんな美しい生き物がいるのか・・・ビジュアルの神がかった美しさは言うまでもない。鬱屈した人物を演じるとひときわ素晴らしいみりおさん、エドガーの複雑さを見事に体現している。
エドガーがアランの学校に編入するシーン。健康な少年たちの中で1人だけ違和感のある佇まいは素晴らしかった。ただ立っているだけ、黙って顔を伏せるだけで人外のムードを漂わせる。表情ひとつで心情の変化を表す。
(だから何箇所かに入る「心の声」のナレーションはむしろ無い方がいいんじゃないの?と思った。みりおさんなら眉間のしわ一つで、エドガーの葛藤を表現できるのに・・・でも舞台は2階席の後ろまで伝えないといけないから、説明過多なのはしょうがないのかな)
エナジーを吸った後の恍惚と満足の表情が実にエロティックでドキッとする。
特に、アランと並ぶとその美しさは尋常ではない。
アランの慟哭も鳥肌立つほど素晴らしかったなあ。柚香光さんもこんなにお芝居よかったんだな。
ラストシーンのアランの表情は特によかった。
そして長く生きて物事に倦んだような冷めた目つき(上記年表参照。ギムナジウム入学時点でアランはバンパネラ歴79年である。ちなみにエドガー先輩は205年ね)。この演じ分けは素晴らしかった。アランの変容がハッキリ見てとれた。
まだまだ語り足りない・・・萩尾先生、小池先生、そして花組のみなさん、関係者のみなさん、素晴らしい舞台をありがとうございます。漫画読み直そう。
飛ぶように売れていた、ポーのお紅茶缶。ええ買いましたとも。