シネマと宝塚と音楽と

宝塚・音楽・映画・時々ジャニーズ

エリザベート(1995 雪組)

トート:一路真輝エリザベート花總まり、ルキーニ:轟悠
 
かつて、初演の95年雪組バージョンを大劇場で見た。
今更何言ってんだ、って感じだが、これがもの凄くよかった。
なんせ、キャストが神がかっていた!
一路真輝さんは素晴らしく歌がうまくて演技も確かで美しく魅力的なスターさんだが、男役としては小柄で線が細く、力強さやセクシーな魅力はあまり感じさせないタイプだと思う。
しかし、そんな繊細な一路さんの持ち味が、トート役にとってもハマっていた。ぼうっと輝く銀髪で暗闇に佇む不吉な姿は、恐ろしくも美しく、人間離れして見えた。
いくらエリザベートへの恋を情熱的に歌っても、決して人間の男には見えない。由緒正しいハプスブルグ家に取り憑く、気品ある魔物。
その後何度も再演されているが、初演と比べるとトートが人間臭くなってきているように思う。魔性の妖から、恋に身を焦がす一人の男に。
どちらがどうということもなく、どちらもいい。どちらのタイプも好きだ。役者の個性に合っていればいいと思う。
 
また、シシィを演じた、花總まりさんの熱演。
あの有名な肖像画を模した白いドレス、すっと首筋を伸ばした立ち姿の悲劇的な美が、
それだけで物語にもの凄い説得力をもたらしていた。
宝塚の舞台ってどうしても男役社会(紅ゆずるさん言)で、女役のタイトルロールはめずらしいのでは。
私は宝塚の女役は男役と同様、いやもしかしたらそれ以上の特殊技能ではないかと
個人的に思っているので、女役が大活躍する芝居ももっとあるとうれしい。
そういや宝塚のド定番、ベルばら・風共・エリザベートは、どれも女性が主役。(男役スターが主役女性を演じるパターンが多いけど)
みんな、女性のドラマを見たいんじゃないのかな。私は見たいな。
 
そして轟悠様のルキーニ。この人の男役芸はネクストステージだ。
本物の男みたい、というより、男役としてさらなる次元にいる、という感じ。ギリシャ彫刻みたいな美人が、舞台では誰よりも男くさく見える。(この人も、決して線の太いタイプではないのになぁ、、)
野性的で荒々しい人間くさいルキーニが、端正なトートと良い対比だった。
轟さんって美女でもあり美男でもあり、しかもこの20年ほとんど劣化しないという
時空も性別も超えた美形。どうなってんだあの人は、、
 
ほんとにいい舞台だった。曲もかっこいい。ライブで見られて、幸せだったわ。
 
イメージ 1
ほんと神でした