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殉情ー春琴抄よりー(2002 雪組)

佐助:絵麻緒ゆう 春琴:紺野まひる 他
 
大谷崎の名作「春琴抄」のミュージカル化とは。。
タカラヅカってほんとチャレンジングな劇団だ。
純愛というにはあまりにも妖しい支配と被虐の物語、
ほとんどSM関係に近い愛をスミレコード的にどう表現するのか、興味津々。
 
すぐに声を尖らす癇性な春琴、究極のツンデレ
物心ついてからの失明という過酷な経験が彼女を頑なにした。
原作だとほとんど笑わない権高な女を、紺野さんは我儘お嬢さんの愛らしさを残して好演。
タカラヅカ的にはこの程度可愛げがあるキャラクターで正解なんだと思う。
絵麻緒さんは95年も同役を演じていて2度目。
和服姿がきれいで品があり美しい。さすが雪組
 
高圧的に男を怒鳴りつける驕慢な女、虐げられるほどに嬉々として女に尽くすマゾ男。
実にスミレ的でない関係を、それでも美しく見せるのはタカラヅカ・マジック。
原作では奉公人たちが「こいさんはどんな顔して佐助をくどくんやろ」と
噂するだけで、直接描写はなかった二人のラブシーンもちゃんと補完してくれる。
(「腰もんで」「灯消して」のくだり)
これがいい。いかにも春琴と佐助らしくて、見せ方も程よい。
紺野さん、気の強い娘が似合う。娘役の見せ場が多い芝居は好きだ。
こんな妖しげな話なのに結構お笑いシーンが多くて、客席のノリもいい。
金持ちボンボン役の箙かおるさん、アドリブまじりに盛り上げていた。
それと、狂言回し役の現代のカップルを演じた音月桂さん。可愛い!フレッシュ!
この人をもっと見たい、と思わせる魅力。スターだねぇ。
 
春琴が佐助を支配していたようで、実は佐助の愛が春琴をがんじがらめに縛っていた。
佐助はついに春琴を自分だけのものにしたんだよ、、
そんな台詞があったが、ちょっと解説くさいけどいい台詞だと思う。
愛情は恐ろしいもの、なのかもしれない。

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お嫌いどすか?お好きどす。のくだり