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「娘役」(中山可穂著)がおもしろい。映画化希望!

明るいGWの最中も、プリンスロスのダメージを引きずるわたくし。
プリンスは、キャリアの最初からジャンルにも人種にも性別にもとらわれない空気を持っていた。
殿下には宝塚をぜひ見ていただきたかったと思う。好きそうな気がするんだけどな。

中山可穂さんの前作「男役」は宝塚版・オペラ座の怪人。ロマンチックで一気に読んでしまった。
そして続編の「娘役」これがおもしろい!
ヅカヲタのヤクザの親分と彼を慕う若い衆、そして新人公演中の若手娘役を中心に展開する。
「男役」は生徒側の話だったが、「娘役」ではそれに加えてファンサイドの目線が入る。
昔気質の仁侠道を貫く親分さん、バーバリーのコートにボルサリーノをダンディに決めて
いそいそと大劇場にやってくる。
実際にあちらの業界にファンがおられるのかどうか知らないけど
様式美へのこだわりや独特な結束の固さなど、意外と相性が良さそうな気もする。
親分さん、ヅカヲタが高じて彼の組では若頭を「二番手」兄貴分を「上級生」引退を「卒業」と呼ぶ。
(恥ずかしくて子分達にはヅカヲタをひた隠しに隠しているという設定だけど、
多分組員の奥さんの中にもヅカヲタはいるだろうから、こんなことしたらきっとバレていると思う)

また、どうしても男役中心になりがちな中、娘役にスポットを当てた話なのも嬉しい。
男役以上に、娘役はよりフィクショナルな存在で、そのスキルは独特のものだ。
夢の男である男役に寄り添う娘役もまた、現実にはありえない夢の女でないと成立しない。
男役を男役として輝かせるのは娘役との共同作業による部分も大きい。
特に今の時代、ただの添え物ではリアリティがなくてファンは納得しない。
かといって男役がメインである事実は変わらないし。娘役とはなんと難しい立場だろう。
私は年々、娘役の演技にグッとくるケースが増えてきている。

すぐ読み終えるのがもったいなくてわざとゆっくり読んでいるのだが、
とても映像的で、前作よりエンタメ色が強い。ぜひ映画化かドラマ化をしてほしい。
ヅカヲタのヤクザ親分なんて、いい役じゃないですか。
誰がいいかな。藤竜也さんじゃかっこよすぎるか。八名信夫さんとかもいいな。
あ、まだ少しお若いが、岸部一徳さんなんかもいいですね。
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娘役にもっと光を。