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霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS(2019 星)女の胸で泣き崩れる紅さんがセクシー

2019年の初観劇。「霧深きエルベのほとり」初めてちゃんと見た。
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荒くれ者の船乗りと上流階級のお嬢様の悲恋。これ以上ないくらい定型のメロドラマ、こういうアナクロでちゃんと感動させ泣かせるのが宝塚のいいところだ。通常の映画やドラマで今時これはないだろうが、宝塚なら成立してしまう。
ただ、作品中の表現、特に男性観と女性観は時々ギョッとするくらい古臭い。1960年代の作品なのでしょうがないのだが、それを差し引いてもかなり偏ったジェンダー感覚ではある。一種の時代劇のようなものなので不快さは感じないが、不思議な感覚には陥る。
宝塚のジェンダー問題は考え出すと本当に面白い。「男は男らしく、女は女らしく」が基本の宝塚で、伝統を守りつつ現代感覚をどう取り込んで行くのか。劇団も色々と考えて変化をもたらしているんだろうと思う。
 
紅ゆずるさんのカールはよかった。若々しく颯爽としたかっこよさは昔の日活スターのよう。二枚目すぎない役所が似合っている。未熟な弱さを持ち合わせているところが魅力だ。女の胸に取りすがって泣き崩れる姿がセクシー。
綺咲愛里ちゃんのマルギットも、タカラヅカ娘役でしか表現し得ない浮世離れした清純さが良い。素直そうでいて、強情な一面がちゃんと見えているところがうまい。
カールとマルギットはあまりにも住む世界が違う。どう考えてもうまくいかない二人だった。階級差だけではない。カールは海の人・放浪の人で、マルギットは陸の住人・安定と発展の人。二人の強さは質が違う。だからこそ好きになったんだろうね。
礼真琴さんのフロリアンは人格者でリッチでハンサム。一番現実味のない役だがこういう類型的な役をきっちり出来る礼さんもいい。
また、英真さんのヴェロニカが最高にいい。英真さんの女役は色気があって、こういう酒場のマダム的な役が実に似合う。
 
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ショーは華やか、Jポップがかなり活かされていた。しかし七海ひろきさん退団は惜しまれるなあ・・・
華やかで匂い立つような、いい男役さんだ。
またトップコンビのデュエットダンスは以前よりしっくり似合って魅力的だった。
個人的には綺咲愛里ちゃんにトップの貫禄が出てきたように思う。娘役強めが好みなので、嬉しい。